彼と彼女

街へ向かうために遠出をした。遠出っていっても僕にとっての遠出。なかなか体調の問題もあり、遠くへ行くことを拒んでいる状態なんですけど。街の中心部から少し離れた場所に向かう。晴れたり、曇ったり、雨が降ったり。おもしろい天気に、少し緊張しながら僕は歩いていた。街の中心部から外れた、その場所は、住宅があったり、古民家を改装したカフェがあったりと日常と非日常が混じり合う形で形成されていた場所だった。

 

無機質な雑居ビルの3階。特別なにも変化のない雑居ビルの階段を上がると彼の空間があった。詩の個展を開催されていて、その個展まで僕は足を運んでいたんだ。無機質なビルとは似合わない彼の空間と眩しい光を感じる言葉の数々に自分の汚さを感じた。彼から繰り出される詩。その中にある言葉の力に僕は圧倒されていた。文章と言葉の力に惹きつけられる。なんで、こんなに惹かれるのだろうか。彼から繰り出される表現に、表現の仕方に。

 

圧倒的に僕は頭が悪いので時間をかけて文章を理解していく。僕の中で。言葉って面白い。彼のように光を感じる言葉を集めてみたいと僕は思っていた。少しだけ彼とお話しもできた。謙虚で僕の拙い感想にも感謝をしてくださった。遅れて、この個展に誘ってくれた彼女が飛び込んできた。この出会いを繋いでくれた彼女にも感謝しないとね。それぞれが彼の空間と文章を楽しんでいる。楽しみ方は自由だった。

 

同日に別場所で、その彼女主催でイベントをすることになっていた。彼女の知り合いで個展に来ていた男の子と僕と3人でイベント先へ移動をしていた。僕は移動時間、死亡していた。かなり申し訳なく思う。彼女にも男の子にも。僕はその男の子と初対面だったから特に感じる。フラッシュバック的に目に入った、あるモノから電車内でパニック障害出るかもって状態だった。到着の駅に着いた時は安心した。

 

話をイベントに戻すと彼女は構想から「形」あるものを作り上げた。意思の力と行動力の結晶。彼女は詩の朗読をして良い空間をつくる。基本的に彼女と繋がりを持っている人たちが集まった会だったけど、その繋がりは、すてきな人ばかりで。個展をしていた彼も参加されていた。

 

とにかく彼女の人望が凄い。「今日、何をするか分からないのに来てくれました」と紹介された大学生の男の子と、その友達の方。時計の針が進むにつれて、彼女中心の輪が、広がっていく。ぎこちない関係から静かに。でも心地よい時間へ。

 

みんな初対面だったのかな。でも人を繋げる力が彼女にはあった。最終的には、みんなが笑っていたのが印象的で他にも参加された方は、なにかしら表現をしている。すてきな人たちだった。時間も差し迫り、それぞれが、それぞれのタイミングで帰路に着く。とても良い1日。

 

でも、その夜。神経が尖りすぎて眠れなくて困った。