2週間前くらいに僕の携帯電話に着信があった。ほとんど繋がりがなくて、鳴ることなんてない携帯電話だから、僕自身が驚いた。着信をくれたのは友人だった。最後に会った時は10年以上前になるのかな。そんなことを考えながら折り返した。友人は風の噂で愛知に仕事で行っていると聞いていたから不思議に思いながら。電話口での友人は、昔と変わらない声がした。どうやら、転勤で地元に戻ってきたからという理由で遊びのお誘いだった。

 

ちょうど先週の金曜日が、お互い時間が空いているとのことで飲みに行くことにした。仕事終わりの時間、雑踏な駅に紛れ込んで待ち合わせ場所へ向かう。僕は友人より先に着いたので電車の時刻表を眺めていた。不意に「久しぶり」つって声をかけられた。友人の彼だった。10年以上の空白を埋めるような作業をしなくても良いくらいに時間が戻ったような感覚を僕は感じた。お互いの関係は変わらないねって。彼もそう思っていたら嬉しいけど。

 

話もそこそこに喫煙者である僕たちはタバコを吸える居酒屋を探す。僕は、ずっと地元にいるけど地図すら見れないし店も知らない。北の方向へと向かうが、暗くてどの方向が北か分からず、友人に案内も行く店も任せた。案内された居酒屋は喫煙可だった。昔話が多くなってしまう年齢にお互いがなったと実感した。こうやって老害のような扱いを受けていくのだろうと感じてしまうくらいに懐かしい話を僕らは続けた。でも楽しかった。お互い甥っ子くんが居るとかね。くだらない話をしていた。

 

僕が「お互い変わらないね」って嘘を言ったら、友人は「お前は変わったよ。老けた。」と僕の嘘を一蹴して笑った。僕は白髪が増えたからね。心の中では、君もだよつってたけど。もう若くもないけど老け込む年齢でもない。その微妙な年齢に差し掛かり、お互いが未婚で共通する部分もあり、時間も気にせず酒を飲む。時計を見ると時間がずいぶん経っていた。基本的に話を聞く側になる僕は、彼の話を聞いていた。大人は大人が思っている以上に子供で、子供は大人が思っている以上に大人な感じがした。

 

近況の報告会だったけど、せっかく繋がりを持てたのだから、この機会を大事にしなきゃと思い、結局は夜中の1時まで飲んでた。変わるものと変わらないもの。不変なものって無いと思っていたけど。この繋がりは変わることも無さそうだなと思いながら。また、チャンスがあれば飲みに行きたいかなと思いながら。今月になって様々な縁を感じる機会に恵まれている。大事にしていきたいと僕は酔いながら思った。