甘酸っぱいってどんなもの

彼女できました。

 

彼女できましたって僕の話じゃない。残念。すごく個人的に残念だね。昨日、前の会社にいた人とご飯を食べに行ったのね。僕も彼もその会社を辞めてるから今はバラバラなんだけど、開口一番に出てきた言葉がコレだった。それまでの彼は僕の個人的な印象だけど『イケメン』でも、どこか歪んでいて自信がない感じだった。それが昨日。僕が見た彼は別人に映った。とても充実していて、楽しそうで、自信があるように見えた。事実、3時間くらい居酒屋で話しをして僕自身が直に感じた。

 

2人で居酒屋の酒を飲むのでテーブルは小さく、仕事終わりの僕の鞄を置くスペースすらない、コートを掛けることも出来ない状態で彼の話を聞いていた。居酒屋特有の周りの雑音も気にならないくらいに彼が、日々の生活のこと、彼女さんとのやり取りを詳しく教えてくれた。凄く嬉しかった。饒舌にしゃべる彼を見て、人って変わるんだなぁと思った。今までに彼のこんな姿を想像していなかったから正直に言って驚いた。これは男性だけかもしれないけど。彼女が出来たことがプラスになっていて、男としての自信みたいなものが付くのかなって思いながら話を聞いていた。

話しの中身はこれまであった彼女との話。過去のことと、同棲するために部屋を借りようとしている等の未来の話をしてくれた。そのために仕事を探すって前向きになっていること。このブログと正反対の姿勢に実は、ちょっとだけ僕は肩を落とした。彼の幸せは嬉しいんだけど、僕には未来の話が全く無かったからかもしれない。ただ、淡々と毎日、上司から注意と怒らる日々の出来事をブログに書いているだけだから。

 

彼から漂ってくる甘酸っぱさが、お酒の量を加速させ酔わせた。ビックチェーン居酒屋で安いお酒を大量に飲んだから仕方ないけど。

 

幸せそうな彼の顔を見ていると良かったなぁと思う気持ちと僕には難しいかもって気持ちがフワフワと浮かんできたけど無理やり消した。そして会計の時に割り勘で払おうとする彼に僕は『払うよ。そのお金は彼女のために使いなよ。』って似合わないセリフを言えたのは酔っていたからだろう。金額見たら酔いが醒めたけど。結構、僕が飲んでいたみたいだった。飲み放題にすれば良かったって後悔した。

 

 

店を出て彼は南に僕は北へ向かって正反対に帰った。これが何かの暗示じゃなければ良いのにってフッと頭によぎって、すぐに考えないようにした。考えたら家に帰れなくなりそうだったから。電車に乗るといつもの風景に戻った。僕の日常。なんにもない。甘酸っぱい味がない無色透明で無味で、彩りに飾られていない風景だった。雨で傘を置くところに困った。きっとそう。