エスカレーターとカレーに負ける

大人を通り超えておじさんになった僕。子供の頃は大人って大きい人だと思っていたけど、実際に大人と言われる年齢になってみても、実感は湧かないものでして、未だに社会の迷子になっています。

 

街をふらふらしていたら子供を見つけた。だからといって声をかける程のことでもない。エスカレーターで遊んでいた。手すりにしがみついて、足場のレールみたいなところに足を乗っけて足を交互にエスカレーターの動きと併せて進んでいた。「エスカレーター内では遊ばないように」的な機械式オペレーションも無視して。そんな現場を見ていたら、そういえば僕も子供頃にやっていたよなって思った。何が楽しいんだろかと思っていたら、自分が大人になっていることに気づいた。

 

ウィンズに向かう僕の前を歩いていた若い男性と女性。大学生でもなさそうな若さ。話を聞いていたわけじゃないけど、急に耳に入ってきた。「カレーは週7でいける!!」と男性。この、「いける」=「食べれる」がなんのアピールなのか分からない。カレーは週7でいけるがウケるなら、僕も使う。だけど、きっとウケない。それならカレーは2日は普通に食べて、3日目はカレーうどんにすると良いんだぁと僕は言う。と思う。そんなことを思う僕は、その2人よりもつまらない人間なのかもしれない。

 

この街というダンジョンをふらふら目的もなく彷徨っている。日常の切り取りを盗み聞きをし、盗み見をしながら歩いている。ゲームならパーティで仲間が加わるはずだけど、未だに1人で遊んでいる。

 

エスカレーターもカレーも万能である。めちゃくちゃ役に立つのだけど、ここまで生きてきて、僕が役に立ったことなんてあるのだろかと考える。エスカレーターの偉大さと便利さ、カレーの作った後のラクさという偉大と便利さを僕は兼ね備えていない人間なような気がした。

 

図にするとエスカレーター≧カレー≧僕という図式が成り立ってしまう。何になら勝てるのだろうか。勝つという表現も違うような感覚もあるけど。僕には、なんでも負けそうな雰囲気がする。

 

つまらない人間が考える、つまらないこと。結局はどうやって、つまらないモノをつめるかの作業なのかもしれない。楽しそうにエスカレーターで遊ぶ子供もカレーは週7でいけると言った男性と女性の会話も価値があるんだと思う。ただ、それが僕には面白かっただけ。

 

大人。大変なことがある人だと僕は思う。大人になると面白いことも多いけど、子供よりは大変なことが多い気がする。考えること、やるべきことが増えている。